社会福祉法人の監査

2016年04月05日  |   webセミナー  

こんにちは。今回は「社会福祉法人の監査」というテーマでお話させていただきます。

社会福祉法人の監査というのはいくつかあります。従前からある所轄庁による指導監査、監事の監査、内部監査、そしてこれらに加えて会計監査人の監査という外部監査が追加される見込みです。この会計監査人監査というのは全ての社会福祉法人が対象になるという訳ではなく、現在のところ収益額が10億円以上あるいは負債総額が20億円以上という、一定規模以上、それなりに大きい法人が対象になるという予定です。

【参考:外部監査について】
今回の改正で加わった会計監査人監査という外部監査は、従来の「審査基準」で求められていた「外部監査」とは以下の点で異なるので要注意
• 公認会計士又は監査法人が実施主体(税理士・税理士法人は監査できない)
• 一定規模以上の社会福祉法人は必ず会計監査人監査を受けなければならない(2年に1度受けることが望ましい、ではない)

その会計監査人が監査をする対象ですが、財務諸表等と定められており、資金収支計算書、事業活動計算書、貸借対照表、そして附属明細書、財産目録となっています。これに加えて、「その他厚生労働省令で定める書類」がある、としか今のところ決まっておりませんので、具体的に「その他厚生労働省令で定める書類」に何が含まれるかがポイントになってきますので、具体的にここに何が含まれてくるのかにぜひ注意をしておいてもらいたいと思います。

【参考:社会福祉法改正案】
第45条の19
会計監査人は、次節の定めるところにより、社会福祉法人の計算書類及びその附属明細書を監査する。
2 会計監査人は、前項の規定によるもののほか、財産目録その他の厚生労働省令で定める書類を監査する。

会計監査というのは「リスクアプローチ」という手法を取っています。リスクアプローチというのは、リスクが大きいところに関してはきっちりと細かいところまで時間をかけてチェックしましょう、リスクが少ないところに関してはそこまで工数をかけずにチェックをしていきましょうというものです。ですから、「リスク」が一体何なのか、ということを理解していただく必要があります。

このリスクアプローチによる「リスク」というのは、まず監査リスクというものがありますが、要するに間違った監査意見を出してしまうこと、つまり、本当は正しくないのだけれども、不正とかミスが含まれている財務諸表なのだけれども、正しいものですと言ってしまうリスクをいいます。なので、それを下げるためには、監査法人としてはものすごく多くの工数をかけて監査をするという選択肢がありますけども、それにはやはり限界があるので、どうしても内部統制に依拠した監査になります。
内部統制というのは、言ってみれば法人の中のダブルチェックとか管理体制のことです。そういう管理とかダブルチェックをしっかりやっている法人だと、統制リスクというものが下がります。統制リスクというのは、内部統制とか社内の色々なチェックによってミスや不正が見つからないリスクのことを言います。要するにちゃんとできていればこのリスクは低い、ということなのです。あまりこの定義のことを考え出すと混乱してしまうので、きっちりやっていればこの統制リスクというのは下げられると思ってください。法人の皆さまが影響を与えることができるリスクというのは実はこれだけなのです。ですので、監査の工数を減らして、監査対応を少しでも楽にして、あとはコストですね、監査法人に払うコストを下げようと思ったら、社内の管理体制をしっかりしていこうと、こういう流れを目指していただけるといいと思います。

監査法人の考える「リスク」というのは一体何なのだということですが、社会福祉法人の場合は、公益性というのが大事ですので、公益性を監査法人にもしっかりと見てほしいということを厚生労働省の方から伺ったことがあります。
ただ、公益性をしっかりと見ることは結構難しいことです。しかも会計監査人というのは数字を見ますので、数字を見て何を公益的なのか公益的でないのかというのを見るのはなかなか難しいのです。しかし、公益性という視点で言うと、例えば、一部の理事または理事長の方々が独善的に経営をやっているというのは、公益性から離れて行ってしまいますが、そう言ったものに関しては、監査人もリスクが高いと判断します。理事長が全て決めているから悪いと言っているわけではないのですが、合議制ですね、きちんと理事の中で意思決定がされるという状況と比較すると、一人で何でも決めてしまうというのは、ミスとか、不正とかが起きやすい、という意味です。ミスとか不正とかが起きやすいということは、本当にミスとか不正とかが起きていないかチェックする必要があるわけです。ですので、外から見てもわかりやすく公正な経営とか運営を行っているというような姿を見せるということが大事なのかなと思います。特に、通常の企業の場合は営利法人なので目的は利益を上げることですので、極端な話、手段は問わないです。法令違反さえしなければ、オーナー経営者が独断で経営をしていっても別に問題はないわけです。ただし、社会福祉法人というのは公益性というものを大事にしていかなければなりませんから、外から見ても一部の特定の方々が自分だけの考え方で運営をしていくと言うよりは、きちんとした形で合議制とか外部の方の意見を聞きながら運営をしていくというようなことも併せて体制を整えていただけると、会計監査としてもきっちりとした法人の運営をされているな、ということでリスクをそんなに高く見ないと思います。ですから、会計監査と言ってもあまり特殊ではなく、今まで見たことも聞いたこともない連中がやってきて中をぐちゃぐちゃにされるということではなく、当たり前のことを当たり前にやる、そもそもの社会福祉法人が作られたときの目的を改めて思い返していただいて、きっちりとその運営をやっていくと言うことです。それともう1つ、第三者がいきなり来ますから、そういう第三者の公認会計士とか監査法人に対してわかりやすく説明できるような状態になっている、ということが、このリスクアプローチ監査に対応していく一番重要なポイントなのかなと思います。

会計監査については、いくつか注意しなければならない項目がありますけれども、監査法人のことをよく知っていただくことが必要なのかなと思います。監査法人は不正とかミスを見つけるためにいろいろなことをやっておりますので、こちらは別途ビデオを用意しておりますし、書籍も出ておりますので、そちらの方を参考にして、実際に監査を受ける段階になったら、彼らが一体どんなことを考えて、何をやっているのかということを併せて理解をしていただけるといいかなと思います。

今回は以上です。