10.監査の年間スケジュール

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 監査の年間スケジュールということで、大体のイメージを持っておいていただきたいと思うのですが、3月決算の場合、監査計画を作るのは6月か7月です。四半期終わってしまっていますので少し遅いのですけれども、実際はこれぐらいのスケジュールでやっていたりすることがなくはないです。なぜかというと、6月の末に有価証券報告書を出すまでに結構彼らは工数を取っていますので、実際は6月の頭ぐらいから翌年の監査計画を立て始めるということです。ここで大事なのはリスクアプローチです。リスクアプローチとここに書いてあります。リスクアプローチについて、あとでどのようなものかということをお話ししたいと思います。

 実際に監査手続きを皆さんの会社に伺って、工場に行ったり、子会社に行ったりしてやっているのが、2番の監査手続きの実施ということです。四半期から始まります。それで、最終的に監査意見、最終的には年度の監査意見になりますけれども、これの形成と社内の審査があります。最終的に監査報告書が提出されるわけですけれども、皆さんが目に入れて対応されているのは、2番なのです。今は2番以外にも結構やることがあるのです。これは適当にやっているというわけではなくて、真面目にやるとやることが結構あるのだということを、押さえていただきたいなと思います。

 それで、監査計画からです。多分、監査計画は皆さん見ることはないです。皆さんのところに、監査が始まる前に監査計画書が来ると思いますけれども、あれは本当に要約なのです。日程表に限りなく近いものになると思います。あの裏には監査計画があって、それはリスクアプローチという方法でやられています。リスクアプローチというのは、極めて概念的な考え方なのですけれども、要はリスクが高いところに関しては時間もかけましょう。経験値の高い、言い方を変えれば単価の高い会計士を当ててきちんとやりましょう。リスクの低い項目については、比較的簡単な監査手続きを行いましょう。簡単に言うとこれだけなのです。では、彼らが判断をしなければいけないものというのは、どこがリスクが高いのか、どこがリスクが低いのかということです。リスクが高いというので、誰をどの期間その会社を担当させますかということを決めるということです。完全に定業化はできないことなので、結構難しい。リスクは多義語なので、言葉を間違えてしまうとあまりよろしくない。ここで一番上に定義をしていますけれども監査のリスクというのは、粉飾や誤り、要は皆さんの間違え、わざとやったのではなくて、ミステイク、うっかりミスで間違えてしまった、これを見過ごしてしまったのだけれど、合っているという適正を出してしまう、こういう可能性のことです。ですから監査リスクというのは、限りなく下げないといけないわけです。監査リスクを極めて低くしなければいけないというのが、リスクアプローチでいう監査人のリスクです。監査側のリスクです。