18.監査責任者が最終的にOKを出す

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 先ほど言いましたように、監査責任者が基本的にはOKを出すのです。いわゆるパートナーですね。最終的にはんこ押す人が責任を負うのですから。ただ、残念なことにどうしても審査を通さなければいけないです。これは、監査法人の中の内部統制なのです。ところが、監査責任者、パートナーが独断で、監査意見をバンバン出してしまうということが、かつての粉飾、監査法人の関与した粉飾決算が多かったので、第三者にきちんとチェックさせようというのは、監査法人の品質管理上、もう仕方がないのです。皆さんの内部統制と一緒です。やはり審査があります。審査の中にも二つある場合があります。一つは審査用のパートナーがいるのです。皆さんの監査には全然関わっていないパートナーです。この人を1回通します。その後に審査部を通します。大手はこのパターンになっていると思います。ひとくくりで審査と言いますけれども、まず自分のチームで監査意見を公表する。これで問題ないよね? 全部終わりました。それで、皆さんの会社とは全く関係ないパートナーが社内でアサインされていますので、そのパートナーのところに持っていくと。こういう手続きやりました。問題ないです。あるいは問題は、こういう点です。これはこういうふうにクリアします。OK取ります。その後審査部、これは部門です、審査部に持っていって、そこで資料を提出して、場合によって呼び出しをいただいて、それに対して質疑応答して、問題がなければ監査意見が出せるとこういう流れになっています。なので、差し戻しされる可能性がかなり増えてきているというのが、今の状況かなと思っています。

 それで、監査人をチェックする体制ということで何回か申し上げましたけれども、日本公認会計士協会が監査法人の品質管理レビューをします。監査の監査だと思ってください。ここでいろいろな項目を見られますので、監査法人はこれに対するために、かなりいろいろなチェックリストを作って、指摘をされないように、されないようにということを、日々考えて行動しなければいけないというのが、今の実情です。それで、審査の体制とか、まどろっこしいじゃないですか。あれもなぜそのようなことをやっているかというと、この人たちが最後になるのです。それで、この日本公認会計士協会は金融庁がここの監督官庁ですから、問題があるとお前ら何やっているのだと、こういうことを指摘してくるわけですね。そう言われたことが、そのまま、監査法人のほうに。結構大変です。

 監査対応を変えるということなのですけれども、ここはもうまとめです。一つ、分析の資料をきちんと作って、経理部長の頭の中だけではなくて、紙に落として、誰が見ても分かりやすいような資料にしてくださいというふうに言いましたけれども、監査をやっている時間の中で、もしかすると一番長いのは手待ち時間なのではないかと思います。監査に行って、担当ごとに分かれます。担当ごとに分かれて、資料を作ります。資料を作るってこういうことなのです。試算表を渡します。大抵その日は、会議室に閉じこもって、あまり誰も出てこなかったりしませんか? あるいは半日ぐらい。あれは何をやっているかというと、さっき言った分析の数字を作っている。分析の増減表を作っているのです。さすがに最近その辺はエクセルのマクロが得意な子が1人でもいたりすると、サッとマクロ組んでデータ流し込んだりとかしますけれど、そうでもないと、担当者ベースにいって、手で打ち込んでいたりとかよくするのです。その数字ができたら今度は分析するのです。分析するといっても分からないですから、質問するところをピックアップするのです。それを紙などにまとめて担当者の方に質問するのです。そこでパーッと答えが返ってくれば手待ち時間はないのですが「ちょっと調べます」と言ったら、もうそこから手待ち時間が発生する可能性が多いのです。さっき言ったような分析の準備などの資料が完璧にできていれば、監査人の待ち時間は限りなく0にできるのです。ですが、ある程度放置していると、分からない間に手待ち時間ができてしまっているのです。スケジュールもお互いにかなり厳格にやっておかないと、来週の月曜日から2週間、3人行きますというふうに、事前に決まっているとしますね。これ、もう結構前から決めておかなければいけないのです。監査法人の中は。だからもう人を取っておかないといけないのです。月曜に来ます。なぜ月曜にしたかというと、前の週の金曜日に一応締める予定だったから。トラブルがあって、月曜日に来ても締まっていません。水曜日まで待ってください。別に待ってもいいけど、その月曜日、火曜日は手待ちです。当然請求されます。そこにいても仕方がない。多分会社に行きます。でも何もやっていない。やれないです。残高見にきたのに、数字が締まっていませんと言ったら、監査できないのです。結構こういうところもチリが積もっていくと、結構大きい成り立ちなのです。だから、そういうことが絶対にないように。で、質問をされて待っている時間もなくすために、さっき言ったような分析資料、これ言葉を変えると一部監査調書を皆さんで作ってしまうという感じなのです。そうすると、お前らの仕事だろうというところはあると思うので、監査調書を作るとは今まで申し上げなかったのですけれども、でも結局そういうことです。でも、そのことによって、皆さんの監査対応時間が減るし、監査法人に言われる前にミステイクが見つかる可能性も確実に上がりますから、意味のないことではないと、僕は思います。それが本当の意味での内部統制なのです。それが置き去りにされているのです。本当はそれが経理部の中でないといけないのです。分析資料を作られて、増減分析をされて、調べてみたら間違っていましたなんていうのは、本当は財務報告の信頼性なんて担保されていないです。それを言っちゃおしまいよということで、監査人はそこをあまり指摘しないです。ぜひ、社内で、私としては分析をやっていただきたいなと思います。この監査人の手待ち時間を減らす、こんなことをやってみませんかというところというのは、後ほど資料見ていただくと、こんなことをやっているなということであれば、ぜひやめていただきたいなと思います。
 あとでご興味ある方はぜひ資料のご請求をしてください。あとはご覧ください。